The Greatest Sales Deck I’ve Ever Seen(私が今まで見た中で一番素晴らしかった営業ピッチ資料)

December 29 2017 in ナレッジブログ
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今回は、UberやYelpなどの大スタートアップ、そしてStanfordに対して戦略ストーリートレーニングを指導しているAndy Raskinさんの記事「The Greatest Sales Deck I’ve Ever Seen」を許可を得て翻訳し、レビューいただいたものを公開します。


それでは早速どうぞ!


=====以下、翻訳=====


その素晴らしかった営業ピッチ資料はZuoraのもので、本当に素晴らしい。なぜそう思うかを、伝えようと思う。

数ヶ月前、60億円をAランクの投資家たちから調達したシリーズCのテック企業に友人のティムが入社した。彼は私が知っている営業マンの中で最高の人材の一人でだったが、スタートしてすぐに彼から、彼がもがいているとメールをもらった。


「いくつかの中小規模の顧客を成約することができたんだが、大企業にプレゼンすると落とされてしまうんだ」とティムは言った。


私が過去に記事に書いたように、私は営業や資金調達やすべてのことに力を与えるハイレベル戦略ストーリーを作る手助けをするのが大好きだ。ティムと私は営業ピッチ資料のレビューをする為に、サンフランシスコのマーケットストリートにあるAmber Indiaレストランでランチをすることになった。


私はビュッフェの皿に料理を持った後、ティムに「どんなポイントで見込み顧客が関心をなくしてしまうんだ?」と聞いた。


「いくつかのスライドをめくった時だ」と彼は言った。


ランチのROIを最大化するためにティムはビュッフェコーナーに戻って行った。彼が戻ってきたときには、私は自分のノートPCを取り出してパワーポイントの資料を開いた。


「これは何だい?」とティムが聞き、


「これは、僕が今まで見た中で1番の営業ピッチ資料だ。」と私は答えた。


素晴らしい営業トークの5つの要素

私がティムに見せた営業ピッチはシリコンバレーでIPOを目指している、月額課金のためのSaaSプラットフォームを提供しているZuoraという会社からもらった営業ピッチだ。


私はその営業ピッチをZuora卒業生の営業マンからもらったが、彼はその資料が人生で一番大きなディールをクローズするのに手助けになったと言っていた。


ティムはヤギカレーに浸かっているナンを食べるのをやめて、ペンと紙を取り出してなぜZuoraの営業ピッチの何がそんなに効果的なものにしているかを見ながらメモをした。


その営業ピッチが以下の5つの要素をこの順番に、いかに見込客を素晴らしく導いていたかについて特記したい:


(Zuora出身のその営業マンは私にそのZuora営業ピッチを公開しないようにと言っていたので、

それに同意している。しかし、ZuoraのWEBサイトやSlideShareのチャンネルにほとんど全く同じ営業トークフローは記載されている。なので、以下の画像はそう言った公開資料から引っ張ってきたものだ。)※1


#1. あなたのサービスに関連する世界の大きな変化について言及する

あなたのプロダクトや、会社所在地や、投資家や、クライアントや、あなた自身についての話から営業プレゼンテーションをスタートしないようにしよう。


その代わりに、見込み客に対して (a) 大きな機会 そして (b) 緊急性 の両方を作り出すような世界の否定しようのないシフトについて言及するのだ。


Zuoraのほぼ全てー営業ピッチも他のものもーの最初のスライドはこれのバージョン違いのものだ:


Zuoraは”サブスクリプション・エコノミー”というフレーズでスタートし、購買者が一括購入型よりも継続課金型のサービスを選択する傾向が増えているというトレンドに言及している。Zuoraは次に大抵、歴史の変化を説明したスライドにつなげている。


巧妙だが重要な、「”問題”からスタートするというピッチアドバイス」との違いについて忘れないようにしよう。あなたが見込客に対して、彼らが問題を抱えていることを力強く主張するとき、彼らは守りの姿勢に入ってしまうことになる。彼らは、その問題に対して心配したり苦しんでいると認めることに対して、不快感を示すだろう。


しかし世界のシフトとしてハイライトすることで、見込客がそのシフトが彼らにどういう影響を与えるのか、彼らにとってどう脅威になるのか、どこに彼らの機会があるのかについて目を開くことができる。もっとも重要なのは、彼らの注意を惹きつけることだ。ハリウッドの脚本家の大家Robert McKeeはこう言っている:


…人間の注意を引くのは変化だ…もしあなたの周りの気温が変わったら、もし電話が鳴ったらーそれはあなたの注意を引く。ストーリーの始まり方というのは、変化の瞬間を作り出すイベントをスタートすることなのだ。


#2. 勝者と敗者が生まれることを書く

全ての見込客は経済学者が言うところの「損失回避」と言う現象に悩まされている。現状維持に固執し、変化を選択して利益の可能性を上げるよりも損失の可能性を回避する傾向にあるということだ。


あなたが述べた変化にうまく反応することによって、その見込客にとって非常にポジティブな未来に繋がる可能性が高いこと

変化にうまく反応しないとその見込客にとって受け入れがたいほどネガティブな未来に繋がる可能性が高いこと

ZuoraはFortune500社の「大量死滅」について示している…



…そして勝者がいかにプロダクトオーナーシップを継続課金サービスにシフトしてきたかを見せている。それらは新興企業についてのシートもあれば:


既存企業が活性化した事例も同様に見せる:


要点を明確にするために、zuoraは以下のシートで問いかけている:


もちろん、この時点までに「共通の特徴」はすでに見込客の頭の中に植え付けられている:

勝者は皆、サブスクリプションサービスを採用しているということだ。


#3. 約束の地を暗示しろ

この時点になると、あなたのプロダクトやサービスの詳細に突入したくなる誘惑にかられるだろうが、その衝動はまだ抑えるべきだ。


もしプロダクトやサービスの詳細について早く話し過ぎてしまうと、見込客が、なぜそれらの詳細が重要なのかのコンテクストが十分に理解できず、関心を示さなくなってしまうのである。


その代わりにまず、あなたのプロダクトやサービスを使うことによって見込客の目標達成が助けられ、童話の「いつまでも幸せに暮らしました」といったビジョンを描いたティザー(焦らして小出しにする方法)を見せる ー それを私は「約束の地」と呼んでいる。


あなたの描く「約束の地」は顧客にとって、望ましいものであり(当たり前であるが。)、かつ外部の助けがなければ達成が難しいものであるべきだ。そうでなければ、あなたの会社が存在する理由がないからね。


サブスクリプションエコノミーに勝者と敗者がいることを示した後に、Zuoraはこの「約束の地」スライドで、サブスクリプションエコノミーで勝つことが何を意味するのか、ということに対する具体的な基準を提供している。


約束の地は新しい未来の状態であって、あなたのプロダクトやサービスではないことを忘れないようにしよう。


ランチの間中、私は友人のティムに約束の地を明瞭に表現するように聞いたが、彼の答えは「あなたはXXXの最もイノベーティブなプラットフォームを手に入れられることになる」であった。そうじゃない:約束の地は、あなたのテクノロジーを手に入れることそのものではなく、あなたのテクノロジーを持つと人生がどうなるのかということなのだ。



あなたのピッチに約束の地があることによって、あなたとのミーティング後にその見込客が社内で同僚にピッチする際にも非常に大きな助けになる。あなたがいない中、その同僚が「そいつらは何をやってんだい?」と聞いてくるだろう。注目せずにいられないような約束の地で武装することで、見込客はそう言った質問に対して社内の他のメンバーを味方に引き入れられるような回答を行うことができるようになるだろう。


#4.「約束の地に向けた障害に打ち勝つ魔法のギフト」として特徴を紹介しよう

もし現時点でまだクリアでなかったとしても、成功する営業デッキは叙事詩的な映画やおとぎ話と同じ話術構成を踏襲している。あなたの見込客がスターウォーズのルークであるなら、あなたは彼が帝国を倒すためにライトセーバーを供給するオビ・ワンだ。あなたの見込客がロードオブザリングのフロドであれば、あなたは指輪を破壊するのを助けるために呪文を振るうガンダルフだ。あなたの見込客がシンデレラなら、あなたは彼女を舞踏会にはこぶ魔法を使う魔法使いのおばあさんである。


あなたがプロダクトやサービスを紹介するときは、その有用性をライトセーバーや、呪文や、魔法のようなポジションで紹介しよう ー 主人公(見込客)がその望みの約束の地に到着できるような魔法のギフトとして。



例えば、上記のスライドでZuoraは顧客レコードの構造について言及している。文脈関係なく、この詳細は最もテクニカルな見込客すら動かすことができるだろう。


「古い世界」から「新しい世界」に移行するコンテキストとして表現されているが、それがまさに見込客ーテクニカルであろうと、そうでなかろうとーをエンゲージする会話、つまり伝統的なソリューションを使って約束の地に到達するのがいかに難しいかという会話の土台なのだ。


#5. あなたがその物語を実現できるという証拠を見せよう

営業トークをこのような方法で語ることで、見込客に対してコミットメントを作りあげることになる: もし彼らがあなたと共に歩めば、あなたが彼らを約束の地に連れていくことを。


しかし約束の地への道は、当然ながら、障害物だらけであるので、見込客はあなたの実行力について懐疑的にならざるを得ない。そこでピッチの最後のパートは、あなたが話しているストーリーを実現できると明言できる最高の証拠を持ってくるべきだ。


最も圧倒的に効果的な証拠となるのは、その見込客とよく似た他の顧客を過去に手助けして約束の地に到達した、サクセスストーリーだ。Zuoraは営業代理店が書き下ろした顧客のサクセスストーリーのセットを持っておりそれらは手が込んでいるので、実際の営業デック中では、推薦文のキャプチャをエッセンスとして利用している。



“Zuora前のBoxとZuora後のBoxが存在する。Zuoraが来てくれる前のBoxは、本当に辛い状態だった。” ーAaron Levie, CEO


私はこのスライドも気に入っている。Zuoraの顧客であるNCRの重役が、もっとはっきりとZuoraの約束の地について言及しているものだ:


“Zuoraは継続的な売上を可能にし、定期購買全体の管理を可能にする点で素晴らしい、我々が知っている通り、それはERPシステムなどでは難解だった。”


たくさんの成功した顧客事例をまだ持っていない場合はどうしたらいいだろうか?プロダクトデモは顧客事例の次に効果的な証拠となる、しかし、特徴は常に顧客が約束の地に到達するためのコンテクストでプレゼンテーションされるべきである。


営業トークは、社員全員がそれを伝えると最も効果を発揮する

当然だが、素晴らしい営業デックの結果だけで成功する営業はほとんどない。営業マンが成功するためには、その組織全体がその変化、約束の地、マジックギフトなどの営業トークに沿って一貫性を持っていなければいけないのだ。


この点において、Zuoraよりすぐれている例はない。もしあなたがCEOのTien Tzuoを含むZuora経営陣が話すのを見たことがあれば、サブスクリプションエコノミーの話やZuoraが生み出す勝者と敗者の話をほぼ確実に聞くだろう。

実際、そう言った一貫性の取り組みは、ビジョンステートメントと同様、すべての企業のマーケティングコミュニケーションやキャンペーンにおいても事実上の注力テーマとなっている。:



元Zuoraの営業マンによると、この会社全体のストーリーへの一貫性によって、彼が大きく成功したことにつながったと言ってる。


Zuoraのマーケティング部隊はキャンペーンやブランディングをサブスクリプションエコノミーへのシフトに関連したものとして運用し、CEO であるTien Zuoはそれについていつでも公の場で話している。それらすべてが、私が地上からインパーソンセールスを行う上での上空からの援護射撃のようなものだった。私が到着する時までに、見込客はすでに彼らが行動を起こさなければいけないと確信していた。それは私が経験した中で最も営業における「解脱の境地」に近い環境だった。


過去最大のディール

そのランチからわずか3週間後、ティムが電話してきて、私たちが一緒にZuoraテンプレートを元にドラフトを作った新しい営業ピッチ資料に対して大企業の見込客の反応が確実に変化していると言ってきた。


そして、さらにその1週間後、ティムがさらにいいニュースをメールしてきた:彼が会社の歴代1位の大契約を結んだのだ。


その次の週、我々はそれを祝いにAmber Indiaレストランに向かった。


著者Andy Raskinについて:

セールス、マーケティング、ファンドレイズ、製品​開発​、そして採用​をより​成功させるための指導者の戦略ストーリー作成サポートを行っています。顧客にはAndreessen Horowitz,、First Round Capital、GVなどのトップベンチャーファームから投資を受けているチームが含まれています。また、Uber、Yelp、General Assembly、HourlyNerd、Neustar、そしてStanfordに対して戦略ストーリートレーニングを指導しています。

さらなる情報やコンタクトについては、こちらのWEBサイトから:http://andyraskin.com


=====以上、翻訳=====


Andyさんは日本語の翻訳もされている方で、この翻訳記事も大変助けていただきました!Andyさん、ありがとうございました!


※1:WEBでこのZuoraの資料が公開されています。

https://jp.zuora.com/resource/best-sales-deck-ever/


元記事:https://medium.com/the-mission/the-greatest-sales-deck-ive-ever-seen-4f4ef3391ba0


※2:初回公開時はTURN YOUR IDEAS INTO REALITYに掲載していましたが、こちらにも転載しました。

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