スタートアップが(初めての)資金調達をするにはいつからスタートして、それぞれのフェーズで何をしたらいいのか?

July 10 2018 in ナレッジブログ
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スタートアップにとって、資金調達は定期的にCEOや会社の時間を最も食うイベントだ。「時間軸」や「フェーズによってやらなければならないTODOリスト」はまとまってもいないし、そのせいで特に最初の資金調達はかなり非効率だし、最初の資金調達のお金の使い道が最適だとは思えない。

ここは是非効率化していくべきことだと思うので、ここにやるべきことのリストをまとめる。

1.資金調達スタートより一年前(会社が出来てない状態を含む)

資金調達が必要だ、となってから資金調達の準備をするのでは遅すぎる。初めての資金調達を確実に成功させたいなら、かなり前から入念な準備が必要だ。

  • 投資家もいきなり投資してくれと言われて短期間で決めるのは心理的ハードルが高いし、判断能力がそもそもそんなに高くないケースも多いので、ピッチで1発で理解させるのは実は難しい。(投資家があなたの最初のピッチを聞いた第一印象は「判断つかない」が最も多いはずだ。)なのでB2Bの導入営業と同様に、意思決定には時間が欲しいだろうし、ナーチャリングが必要になる。かなり前の段階から関係値を作って、そしてしっかりナーチャリングしていく必要があるだろう。(業界誌とか日経新聞とかスタートアップ媒体に掲載されたり、エンジェル投資を受けたり、誰かがFacebookでシェアしてる情報を見て「あ、あのスタートアップって最近元気いいな」と思ってくれる。)
  • 投資家やスタートアップが集まるようなイベントに参加して、自分のアイデアをエレベーターピッチしまくる。エレベーターピッチ、というのを初めて聞く人からすると身構えてしまうかもしれないが、名刺交換してやってることを伝えるだけだ。より短時間でWhatがイケてることを認識させなければならない。特に、投資家からすると世の中で初めての聞くことはそんなに無いので、違いだったりとか、どういうところがイケてるのか、何が違うのかをしっかりアピールした方がいい。この段階では、面白い、と思ってくれる人を増やすことに注力する。アイデアを隠されると聞く気もなくなるし、アイデアに価値は無いのでどんどんオープンに話そう。最初の投資家になってくれるプレイヤーは少ないけど、将来投資家になってくれる人も含めて手当たり次第、とりあえず50枚くらいの投資家名刺を集めることを目標にしよう。
  • PRTIMESなどで資金調達のニュースを見れば、どの投資家がアクティブかどうかはすぐ分かる。会いたい投資家のリストを作り、それぞれの投資家に知り合いがいないかを知り合いに聞いて回り、パスのある人のリストを作る。そして、将来紹介してくれ、という。
  • StartupListには質のよい投資家も参加しているし、直接連絡を取ることもできる。僕も、ここから連絡を受けた起業家とも頻繁に会っている。StartupListの運営者であるProtoSterは投資家へのパスや起業家コミュニティへの入口になってくれる可能性も高い。参加しておいて損はないだろう。
  • あなたがたった一人でチームがいなければ、チームに入ってくれそうな人のリストも作ってKEEP IN TOUCHし続ける。チームがないスタートアップにはほぼ投資はされないからだ。
  • ピッチデック(プレゼン資料)を作る、ランディングページを作る、プレスリリースを作る、サービスを開発するなど、会社設立前から、形に出来るものは何でも形にしておくこと。そういうところに本気度は表れるし、投資家に会って最も言われる言葉は「ピッチデック送って」っていう言葉である。ピッチ資料の作り方が分からない方はこちらをチェック
  • 会社設立から1年間のスケジュールを立てる。戦略と作戦と戦術を立てる。会社設立1年後の成功はこの段階ですでに決まっている。

2.株式会社をつくる段階

投資を受ける会社を作るなら株式会社を作ろう。1株1円で、資本金は出来れば500万円くらい自己資金で用意出来ると融資を受けることを含め後が楽だが、無かったらしょうがない、出来るだけお金を入れよう。

スタートアップ支援組織をうまく活用する。投資を受けられる段階まで支援してくれるところがおすすめだ。残念ながらシードスタートアップに質の高い固定メンターがメンタリングを現場レベルで毎週行ってくれるアクセラレータは少ないので、良いアクセラレーションプログラムを選ぼう。手前味噌な紹介になり恐縮だが、B2B/SaaSならreality.vc、B2Cなら朝日メディアアクセラレータープログラム、AIを使ったソリューションならAI.Acceleratorがオススメだ。

3.タネ銭を増やす:株式での資金調達の前に、まずは融資での資金調達を検討。自己資金を減らしてしまう前に、政策金融公庫からの融資を受けるのがオススメ。

政策金融公庫には、無担保・無保証人で、創業当初でも〜2000万円までの受けられるという素晴らしい制度融資がある。ただし自己資金の残高をかなり見られるので、設立時自己資金を500万円くらい用意したほうがいいのはこの理由からだ。また、この融資は自分で申請するよりプロを介して申請する方が圧倒的に融資通過率・融資額ともに上がるのでプロに依頼することを強く推奨する。(※希望する方はこちらから問い合わせると相談出来る。)

スタートアップのニュースを見ていると資金調達といえば株式での資金調達!という先入観があるかもしれないが、実績が無い状態で低いバリュエーションでの資金調達を受けるのは安く経営権を差し出す行為なので実は悪手である。そもそも株式での資金調達は失敗した時の痛みが無い(個人補償はしなくて良い)ということで株式での資金調達を選ぶ人もいるかもしれないが、投資契約次第では買取請求条項(うまくいかなかったら買い戻してね!という条件)が設定されている場合もある。

もし自己資金が少なく融資が受けられない/金額が低くなる可能性がある場合には、融資を受ける上での評価向上のために自己資金を増やすだけの目的で少しだけ株式での資金調達を行うのは有りだろう。(投資を受けられること自体が融資にもプラス材料だ。)

4.タネ銭をもとに、実績を作る

実績、実績、実績。世の中は実績で回っている。実績があれば資金調達はあなたが思っているよりもずっと簡単になるし、条件も交渉しやすい。株式での調達を行わずにどこまで実績を作れるかにまずトライしよう!

最大2000万円の融資を受けているので、自己資金と合わせると2500万円のキャッシュを手にしていることになる。このキャッシュが尽きる前(その3ヶ月前まで)に実績を出来るだけ作り、次の調達を行えるようにする。 定性的な目標は、「ここにこれくらいお金をかければこのスタートアップは売上・利益がこれくらい成長する」ことが分かっている状況(シリーズA)を作ることだ。

例えばB2Bであれば、今までの実績と拡張を考慮し、テレマーケティング1000万円+webマーケティング2000万円+クロージング部隊人件費1000万円+オペレーション費用500万円かければ売上が年2億円以上増加する、といった掛け算が出来る状態にすることだ。(もちろん実際の調達金額は、それに加えて開発費用、採用費用、オフィス、ツール代などを加えることが必要になる。)

シリーズAの状況を自力で作れるなら言うことなしだし、そこに到達するまでの資金は全て「つなぎ」の資金調達とみなす。とにかく、シリーズAの状態を目指そう。

5.初めての株式での資金調達

ここで初めての株式での資金調達を行うことが理想だ。実際には自己資金が少ないまたは融資獲得に失敗、あるいはその両方により早めの資金調達を行う必要があったかもしれない。その場合はあくまでつなぎの資金調達として捉える。

一度の資金調達でどれくらいの資金を調達するべきか、でいうと、もし売上が全くあがらなくても出来れば1年半、最低1年以上は適切なチームで生きていくことが出来る資金を調達するべきだ。

出来れば1年半、と言っているのは、事業計画上、次の1年後の目標を定めているとしたら、その目標を達成してから次の調達を始めて、調達完了まで3ヶ月~6ヶ月はかかる。それをふまえて1年半だ。(入金までで言えば、6ヶ月以上で考えるべきだ。)

適切なチーム、と言っているのは、現状のチームだけでなく、現状足りていないが最低限必要な営業や開発などを含めたチームを指している。

もちろんもっと早く次の調達をしても良いが、実績もそこまで出ていない可能性も高いし、資金調達には時間もリソースも精神力も削られるので、出来れば1年くらいは間を開けたい。また、2年だとのんびりし過ぎている。マイルストーンをきっちり決めて動くには、1年半分くらいがオーソドックスだと思う。(B2Cの場合は、結果が出るまでに時間がかかる可能性があるので、場合によって最初から大型の資金調達を検討する。)

事業計画は、1年間の詳細なものと、3年~7年後のExitまでの概案も作成する。VCからの投資には現金化の出口が必要なので、そこまで考えていることを示すのは重要なことだ。

6.資金調達は、入金されるまでが勝負。

B2Bの営業でも現場担当者/その上司/役員会など承認フローがあるのと同様に、資金調達においても投資ファンド内ではアソシエイト/プリンシパル/パートナー/投資委員会という意思決定フローが存在する。どこのフェーズで話が無くなっても、資金調達失敗である。

最も危険なのは、入金完了していないにも関わらず、資金調達が完了したかのように安心しきって他の投資家を断った後で、投資委員会での却下などを理由に断られ、資金調達が失敗してしまうことだ。(起業家の楽天的な部分は好きだが、ここは気を引き締めるべきポイントだ。)

7.入金がなされたらすぐに動けるように、採用とマーケティングはかなり前から準備しておく

資金調達を完了してから採用やマーケティングの準備をするのでは遅すぎる。資金調達後にロケットスピードで会社を成長させたいなら、かなり前から入念な準備が必要だ。(出来なければ、かなり辛い道が先にあるだけだ。)

  • 採用:採用は思ったより時間がかかるので、資金調達に関係なく常に採用したい人材のリストを会って常に会い続けてステータスを更新する。優秀であればあるほど成功しており引く手数多だ。彼らが転職したいと思った時に連絡をくれるように連絡し続けよう。資金調達に動き出したら、採用候補者にも伝えて、どういう条件ならいつから来てくれるか聞きつつ粘り強く口説き、合意する。投資家から、誰を採用予定なのか聞かれた時にこの人を採用します、と言えるようにしておくといいし、実際それがなければ調達しても採用が遅れて事業が進捗しないことはよくある。
  • 営業マーケティング:お金が入ってからスタートするのではなく、お金が入ったらすぐに費用対効果良いマーケティングを行えるよう準備しておく。調達前から小さく色々なマーケティングをテストする。資金調達してからマーケティングのテストをするのでは遅すぎる。資金調達をしたら事業を進捗させなければいけないので、ゼロからの仮説検証になるのは避けたい。また、マーケティングのベストプラクティスを持つサポーターを見つけておく。(僕たちはここもサポート出来るので相談して欲しい。)

8.お金が入ったからと言って使いすぎない

スタートアップは資金を調達したら資金を将来の数字を作るためにどんどん「投資」に使わなければならない。何故なら、資金使途があり、そのために調達したのだから。

ただし、元々の資金調達目的以外への「浪費」は控えなければならない。バーンレートが上がると、思った以上に、加速度的にお金がなくなっていく。スピードを加速させるものには投資するべきだが、素早くよく比較して投資する。また、最初の投資をされた段階では長期でしか結果の出ないものへの投資より短期的に結果の出るものから投資をするべきだ。

1年後もう一度資金調達が必要になる。その時に自分を助けてくれるのは新規株主ではない。今資金調達をしたお金がこれから作ってくれる実績と売上なのだ。

まとめ

資金調達するなら、実際に資金が必要になるよりずーっと前から資金調達の準備が必要だし、マーケティングや採用の準備も同じようにずーっと前から準備が必要だ。

入金されたら資金調達プロセスは終了だが、スタートアッププロセスとしてはただ単にスタート地点に辿り着いただけである。入金されたら、休む間もなく次のマイルストーンに向けて走り続けること。使いすぎずに賢く実績作りに使うこと。次の資金調達を意識し続けること。

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REALITY ACCELERATORは資金調達より前の段階からの支援を積極的に行うアクセラレータ/ファンド。ファンドからの投資はB2Bのサービスに特化しているものの、シード期のスタートアップのメンタリングはB2Cを含めて行っているので気軽に相談してくれると嬉しい。

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